2025.1.31
(こちらの記事は「月刊ホテレス 2025年1月号」でのインタビュー記事を転載しております)
ホテルの宴会場を再活性化 これからのホテル×パーティーの形を提案
最先端技術を活かした全国対応の料理とホスピタリティで、宴会場運営を強力サポート
『にぎやかで活気あふれるパーティーを増やしていきたい』という思いで、2007(平成19)年10月、24歳の若さで起業したのが2ndTable ㈱三原一馬社長だ。ケータリング・出張パーティーは月1,000 件以上、年間で50万食を提供している。新たな取り組みとしてホテルで眠っている宴会場の活性化に着手。北海道から沖縄まで全国対応を可能とする体制も整えた。2025 年、2ndTable の新たな一歩がスタートする。
兵庫県西宮市拠点に年間50万食の提供実績を上げる
―兵庫県西宮市にセントラルキッチンを構え、全国各地でケータリングサービスを展開されているとお聞きしました。その件数はケータリング・出張パーティー の運営は月に1,000 件以上、食数換算で月4 万食に達しています。そもそもなぜ、ケータリング事業を立ち上げよ うと思われたのですか。
(三原) 関西で配ぜんサービスの仕事をしていたのですが、そのときにケータリングサービスの料金が不明瞭であること に気づきました。約20 年前の2005 年、SNS やスマートフォンの普及により、インターネットが日本でも広く一般化をし始めた頃です。
ネットが一般に普及する前は利用者が明確な情報を見つけたり、商品やサービス比較することが容易ではありませんでした。それゆえに、料金に不透明感があったのです。もちろん、ケータリングサービスに限ったことではありませんが、ハード的なモノとは異なり、人を介するものだけに正味の値が分からないまま、利用者は発注されていたのでしょう。
その現状を払拭し、より多くの方に安心してパーティーを楽しんでほしいという思いから、兵庫県西宮市にセントラルキッチンを構え、サービスを開始することになりました。
月1,000件以上のケータリング・出張パーティーに対応
―現在もセントラルキッチンは西宮のみと聞きました。1カ所で全国に配送できるのはなぜですか。
(三原) 冷凍技術の進化と徹底した温度管理をしていることです。冷凍食品は業務用だけでなく一般家庭にも普及しており、それに伴って技術も進歩しています。特にケータリングサービスの生命線である調理した料理の急速冷 凍技術は年々、進化しています。急速に冷凍することでそれぞれの料理の持ち味である風味を逃がすことなく封じ込めます。
また原料の火入れなどに関しては徹底した温度管理を行 なっています。その理由は温度管理をすることで安全を担保できるためです。調理過程における温度のデータはすべて自動でクラウド上に記録されています。データ記録を行うことで、セントラルキッ チン以外で起きた問題等を実証するこ とができるようにしています。
―徹底した管理をしているのですね。 料理の味についてはいかがですか。
(三原) 衛生面の徹底管理は食を扱う ものとしての使命です。もちろん、安心安全な厨房環境とともに味も大切な要素です。しかし、ケータリング料理に 対してあまり好意的な目で見ていただけ る方がまだまだ少ないのが現状です。
当社では、一流ホテルの厨房で腕を振るっていたシェフ2 名を軸に、味 や品質にもこだわったケータリング料理を作っています。長年の経験を生かしてお客さまのご要望に合わせて、いかようにでも料理をご提供することができます。
コロナ以降の需要回復に、宴会場×ケータリングでマーケットを掘り起こす
代表取締役 三原 一馬
―ところで、これまでの実績を軸に新たな展開をされると聞きました。
(三原) 2025 年は全国のホテルに向け てのケータリングサービス元年にしたいと考えています。北海道から沖縄まで料理に限らず、サービス人員の提供も始めます。
首都圏のホテルは法人宴会が戻り始めていますが、地方都市で宴会場を持つホテルの中には、宴会や結婚 式需要の回復が見られず、中には宴 会場をクローズしているホテルもあります。
このような宴会場を再度、多くの人 で賑わうパーティー会場として復活させていきたい、という思いから、ホテルを主軸に宴会場活性化の新たな一歩として、当社のサービスをご利用いただければと思い、本格的にサービスを開 始することを決めました。
―しかしながら、勢いのあるスタートアップ企業や急成長している企業は、他社との交流会というよりも、自社スタッフの交流や士気を高めるためにパー ティーを実施していると聞きました。
(三原) 都心では貸会議室などを持つビル内で、ケータリングを利用したパー ティーを行なっています。ホテルの場合、会場費や機材利用費がかさみ負担となるということから、手軽に利用で きるビル内の空間を利用するケースが 増えています。
当社も企業パーティーをホテル以外 で請け負うケースが年々増加していま す。本インタビューの会場も、株式会 社TC フォーラム様が運営するミーティ ングスペースAPという施設で、日ごろ から2ndTable のケータリングサービスを提供させていただいている施設の一つ です。
貸会議室を利用したパーティーサービスを実施
―これまでルーティーン営業で獲得できた法人宴会もライバルは同業他社から変化しているということですね。
(三原) とはいえ、開拓すればまだまだチャンスはあります。それは、コロナ により忘新年会や歓送迎会で利用していた居酒屋の座敷が全国的に減少し、多くの人との交流を防止するための個室化や団体予約で潤ってきた酒屋経営も団体予約が厳しくなったことから閉店を決断したところも多くあります。つまり、これまでの集まりごとができる空間が少なくなってしまったということです。
ところが企業の年中行事的なものは極端に減らないので、大人数に対応できる開催場所のニーズは十分にあるのです。このマーケットを獲得、また掘り起こしていくためにも、ホテルの宴会場×ケータリングサービスという新たな取り組みに目を向けていただき、パー ティーによる賑わいを各ホテルの宴会場で取り戻してほしいと考えています。
料理もサービスもお任せ、 遊休資産が新たな収益軸に
6,000円プランの例 このほか、新興企業からのニーズが高い、ベジタリアンやハラル対応のメニューなどを取り揃えている
―厨房およびサービススタッフの人材不足も、閉鎖的な運営を後押ししています。
(三原) われわれが提供するサービスでは、ご希望の予算で冷凍又は冷蔵でお届けするため、会場ではセッティングを行うだけですぐにパーティーを開催できます。
会場の設営から後片付け、備品やクロス、サービススタッフなどのパーティー に必要な全てのリソースを弊社が一括でご用意いたします。
施工事例
―サービススタッフまでフォローアップしていただけるのであれば、一歩踏み出せますね。
(三原) はい、加えて使用した機材やカ トラリーなどはすべて回収いたしますの で、ホテル様は空間を貸していただくだけで会場使用料を売り上げ計上することが可能です。実際にご利用いただいているホテル様では1人当たり数千円の利益を得ているケースもあります。
―眠ってしまったホテルの宴会場を再度、復活させるための体制が整っていますね。 最後にひと言、お願いいたします。
(三原) とにかく、日本のホテルでパーティーを増やしていきたい。これが私の思いです。ホテルの宴会場でサービスをしていた経験があるからこそ、良き時代のパーティー文化を復活させたい。
ぜひ、眠っている宴会場を眠りから覚めさせて、活気あふれる、これからのホテルのパーティー元年として、ともに歩んでまいりましょう。
撮影協力:ミーティングスペースAP https://www.tc-forum.co.jp/